【体験談】現役駐在員が語る、海外赴任のメリットとデメリット

今回は、20代後半から英語圏の国に海外赴任をしている現役駐在員の私が、海外赴任のメリットとデメリットをまとめます。

  • 海外駐在が決まったけれど、ちゃんと働けるかどうか不安…
  • 海外赴任を目指したいけれど、実態ってどうなの?
  • 駐在員の待遇ってやっぱり良いの?

リアルタイムで海外赴任を実体験している私の経験をお読み頂くことで、そんな不安や疑問をお持ちの方のご参考になれば幸いです。

海外駐在・海外赴任のメリット

1. ホンモノの英語力が身に着く

私は英語圏で仕事をしているため、日々の業務の中でのメール・会話は基本的に英語がメインとなります。否応なく英語を使わなければならない環境に身を置くことで、英語力が飛躍的に向上しました。

現地ローカル社員との会話、取引先との商談、日々の生活の中で、教科書英語ではないホンモノの英語を習得することができています。(まだまだ道半ばですが…)

ただし、海外に行けば自動的に英語が話せるようになるわけではありません。赴任当初は同僚の話す英語が全く聞き取れず、文字通り地獄のような日々を過ごしました。

しかしながら、そういった環境の中で努力を続けながら英語を身に着けたことは自身の人生・キャリアの中で大きな財産となっています。

2. 視座を上げられる

一般的に、駐在員として働く際には、日本での仕事よりも1つか2つ職位が上がることが多いです。

私自身、20代で赴任したので「マネージャー」といった肩書き自体はありませんでしたが、ローカル社員を動かしながら、自分自身で考え、判断し、事業を動かしていくようなポジションを担っています。

日本で仕事をしている時には、何を決めるにも、課長・部長・事業部長の承認を取るために打ち合わせを設定し、根回しし…といった具合でしたが、今は自分で事業判断を下してビジネスを動かすことができています。

若手・中堅のうちから、裁量あるポジションに身を置くことができることは海外駐在の大きな魅力の1つです。

3. 日本では味わえない高待遇

海外赴任をすると、基本的に年収は大きく上がります。実感としては、日本の年収の1.5倍~1.7倍くらいになりました。それに加えて、弊社の場合は住居費用が完全に会社負担。ジムとプールの付いている高級マンションに住むことができています。

その他、子どもの教育費用や車の維持費、医療費の補助など、日本では考えられないベネフィットが与えられています。

また、日本と比べても、フレキシブルな働き方ができることも魅力の1つ。日本には厳しい労働基準法があるため好き勝手に働くことは難しいですが、海外では裁量労働制の名の下に、好きな時間に好きな場所で働くことができます。(ややもすると、ブラックな労働環境になりかねないという側面はありますが…)

そういった高待遇を享受できることも海外赴任の魅力の1つだと思います。単身であれば、年間数百万円の貯金をすることも容易いです。

4. かけがえのない経験を得られる

私自身、帰国子女でもなく、留学経験もない純ジャパだったので、今回の海外赴任が初の海外長期滞在となりました。

海外で長期生活をすることで得られる経験は本当に大きいです。特に、日本とは違う価値観・考え方の違いには、大きな影響を受け、社会や仕事を新しい枠組みから見る視点を養うことができたように感じます。

また、海外にいるからこそできる旅行やローカル社員との交流など、日本に居ては味わえない貴重な経験ができていると感じます。

もちろん、お子さんがいらっしゃる人にとっては、子どもを帰国子女にすることもできますし、家族帯同での赴任も非常に良い経験となるでしょう。

海外駐在・海外赴任のデメリット

一方で、駐在することのデメリットも幾つか感じました。私が駐在生活の中で感じたデメリットについても紹介したいと思います。

1. 本社からのプレッシャーと板挟み

本社を代表して海外子会社で働くからこそのプレッシャーを感じることが多いです。本社は日本の論理で要望を出してきますが、その要望は現場が見えていない理想論であることもしばしば。

OKY(お前が・来て・やってみろ)、なんて言葉も耳にしますが、そういった本社へのレポートのための仕事ほど面倒なものはありません。ローカル社員の利益にならない面倒ごとに巻き込まれた際のローカル社員との板挟みも何度も経験してきました。

また、本社と子会社の利害対立や、事業部と子会社の利害対立など、本当に色々な揉め事にも日々巻き込まれてしまいます。

駐在員には、強いメンタルとスルースキルが求められるのではないでしょうか。

2. 密すぎる日本人の人間関係

また、日本人駐在員コミュニティで疲労感を感じてしまうこともしばしば。

平日は会社で毎日顔を合わせ、週末は社内メンバーとの飲み会・ゴルフなど、密すぎる日本人コミュニティとの付き合いで疲弊するといった話もよく耳にします。

ニューヨークやロンドン、上海といった大都市圏なら問題ないと思いますが、比較的小規模な都市で駐在生活を送っていると、社外の駐在員・日本人コミュニティとのお付き合いも大変です。

ゴルフコンペや日本人飲み会などで苦手な人が居たりすると地獄です。海外に居るにも関わらず、日本人内での人間関係にも気を遣う必要があります。

また、基本的に駐在している日本人は2~5年ほどは滞在するケースが一般的なので、上司ガチャでハズレを引いてしまうと数年間は逃げる場所がありません。

3. 簡単に日本に帰ることができない

私が駐在している2021年現在、新型コロナウイルスの制限により、一時帰国のハードルがとてつもなく高くなっています。帰国時や入国時に陰性証明を提示したり、14日間の隔離を課されたりなど、なかなか気軽に日本に帰ることができない状況が続いています。

こうした状況で、両親や身内の不幸や親族の結婚式といった機会に立ち会えないという駐在員の悩みは頻繁に耳にします。また、時差がある国に赴任している場合は、日本に戻っても時差に合わせて仕事をする必要があるなど、大変です。

地域にもよりますが、日本の食品や物資が手に入りにくい(手に入ったとしても高額)という面での生活ストレスも大きいです。

4. 人生設計が難しい

会社にもよりますが、帰任の時期が明確に示されないケースも多く、人生設計が難しいこともデメリットの1つです。そろそろ日本に戻れるかと思っていたら、隣国に飛ばされたという横異動の話もよく耳にします。

いつ頃に、何歳で日本に戻れるのかが全く見通せないという海外駐在は、結婚・出産・介護などのライフイベントの計画を立てることが難しく、思い通りに人生設計をすることができません。

私の同僚も、彼女と付き合って3か月後に海外赴任が決まり、泣く泣く破局となってしまっていました。また、海外に居る間は転職活動も難しいため、キャリアチェンジを考えている方も注意が必要です。

これから大きなライフイベントを控えている方は、そういった側面をきちんと理解しておくことが必要でしょう。

まとめ

以上、私自身の経験をもとに海外赴任のメリットとデメリットを4つずつ挙げてみました。

上記はもちろん一例であって、業種や会社によって当てはまらないものもあるかと思いますが、海外赴任について具体的なイメージが湧いたのではないでしょうか。

後半では、いくつかネガティブな側面も紹介しましたが、私にとってはこれらのデメリットを遥かに凌駕する良い経験を積むことができています。

海外赴任・海外駐在に不安を抱えている方も多いと思いますが、一度きりの人生、ぜひ前向きにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。